人気ブログランキング | 話題のタグを見る

セリーヌとジュリーは舟でゆく (磯村)   

セリーヌとジュリーは舟でゆく (磯村)_c0138026_2215456.jpgいやあ、すごい映画を観てしまった。
ジャック・リヴェットの「セリーヌとジュリーは舟でゆく」である。

リヴェットはJ.L.ゴダールやトリュフォーほど日本では知られていないが、ヌーベル・バーグの一翼を担った人である。
彼の「北の橋」も良かったので、この映画も早く観たいとは思っていた。
しかし、この映画、なんと195分もある。観ようと思うと、やはりそれなりの気合いがいる。

公園のベンチで魔術の本を読んでいたジュリーの前を、セリーヌが通り掛かりサングラスとスカーフを落としていく。
そこから二人の追いかけっこが始まり、やがて二人は一緒にすむようになる。

正直に言って、始めの1時間は冗長である。
まともな映画を観たいと思う人だったら、なんのためにこの1時間があるのだと思うかもしれない。
しかし、これがリヴェットなのである。
行き当たりばったりのようで、それでいて絵になるような画面が延々と続く(これは「北の橋」でも似たような印象を受ける)。

映画は後半に入り、俄然面白みが増す。迷路の世界が展開される。
キャンデーを舐めた二人は幻視の世界に入り込み、毒殺されてしまう少女を助けようとする。
幻視の世界はなんどもフラッシュ・バックされて、隠されていた画面の意味が次第に分かるような仕組みになっている。

物語の世界に外部から入り込んだ二人だから、二人は物語を超越していたりもする。
このあたりはゴダールなどとも共通していて、虚構の映画というもの自体を映画であらわしているとも言える。

長い作品だが、一度見はじめると、その長さをまったく感じさせない魅力があった。

日本の監督で言えば、鈴木清順が一番近いかもしれない(鈴木の場合は、歌舞伎などの様式美へのこだわりも強いが)。

リヴェットの大作「アウト・ワン」は、なんと上映時間12時間とのこと。
日本では字幕なしでの上映が1回だけあったとのこと。何人の人が観たのだろうな?

あきりんの映画生活 : http://blogs.yahoo.co.jp/takaki2274/

by akirin2274 | 2009-10-03 22:38

<< 小講演 (瀬崎) 詩誌評 (瀬崎) >>