西脇順三郎の詩画集 (瀬崎)
2012年 06月 09日
昭和47年に限定100部だけ発行されたもので、A3版を一回り大きくした大型本である。
本は、なんと、りっぱな木箱に収められている。
見返りには、1冊毎に西脇順三郎の自筆サインと洒落たペン画も入っている。
当時、全10巻の「西脇順三郎全集」が筑摩書房から刊行されたのだが、そこには彼の描いた絵は収められていなかったのである。
そこで詩学社が詩画集としてこの豪華本を発行したのである。
フル・カラーの20葉の絵が入っており、見開きのその反対頁には西脇の詩句がある。
絵は、ペン、木炭によると思われる人物や異国の地での素描から、水彩、パステル、油による静物画、風景画まで、どれも自由奔放な線描と色彩である。
写真は「三人の姉妹女神」と題された絵で、右頁には(写真では見えないが)「睡蓮よ/現在に/めざめるな/宝石の限りない/眠りのように」の詩句がある、
ところどころの頁には、「旅人かへらず」や「あむばるわりあ」からの作品も載っている。
私の蔵書の中でもとびきりの1冊となった。
ちなみに西脇は、「絵も詩も私の一生につきまとった一種の悪霊か沼沢にさまよう怪鬼のようなものであった。」と述べている。
by akirin2274 | 2012-06-09 12:31