「樹をめぐる物語」展 (磯村)
2016年 04月 25日
「フランスの風景」という副題が付いていて、文字通り樹を描いた絵画を集めていた。
風景画の歴史は新しい。
かっては風景というのは歴史画の背景にすぎなかった。
19世紀になって、バルビゾン派と言われる人たちが戸外で描き始めたのが最初とされている。
比較的早い時期の描かれたジョルジュ・サンドの水彩画「池のある風景、樹木と山」は、15×12cmの小さなものだったが、柔らかな自然の捉え方が見事だった。
エッチングや木炭で樹を描写しようとした時の工夫にも感心した。
アルフレッド・クルゾンの「カステル=フサノの森」は木炭による描写だが、小口木版を思わせる繊細さと強さがあった。
印象派の時代になると、カイユボットから始まり、カミーユ・ピサロ、モネ、セザンヌ、シニャックなどの絵もあった。
その後の時代の絵としては、ルドン、あのヴァロットン、それにマティスなども並んでいた。
個人的にはどうしても水彩画には惹かれてしまう。
なかでもアンリ・リヴィエールの「ボルム=レ=ミモザの風景」と題した3点の水彩画には唸った。
古典的な描き方の水彩画なのだが、その現実風景を描きながらも物語を感じさせる色使いには、ああ、真面目に描かなくてはいけないんだなあと、あらためて思わされた。
by akirin2274 | 2016-04-25 21:22