「吉田博展」 (磯村)   

c0138026_20131195.jpg今年は吉田博の生誕140年になるとのこと。
「ダイアナ妃や精神医学者フロイトも魅了した画家」としての展覧会を観てきた。

吉田博といえば美しく繊細な風景木版画が有名なのだが、実は木版画を始めたのは45歳を過ぎてからで、それまでは水彩画家だったのだった。

展覧会では、嬉しいことに木版画を始める前の水彩画が多数展示されていた。
小学生時代の習画帳も展示されていたが、生まれつきの才能というものを感ぜずにはいられなかった。

吉田の水彩画は後の木版画に通じる静的な風景画で、筆のタッチも柔らかく、淡い色彩がすばらしい。
線描を排した水彩画では、やはりターナーの影響を受けているように思えた。

日本の各地をスケッチ旅行したようで、何冊かの画帖も展示されていた。
スケッチでは鉛筆素描もあったが、それに水彩を載せたものもあった。
彼にとっては下絵なのだろうが、私などからみれば本絵といってもいいぐらいの充分な完成度の絵ばかりだった。

私の好きなもう一人の木版画家は川瀬巴水なのだが、彼との画題の大きな違いは外国風景を早くから取り入れていること。
吉田博は22歳の時に書きためた水彩画を抱えてアメリカへ渡り、その地で高い評価を受けている。
その後も、明治から大正の時代に幾度となくアメリカ、ヨーロッパ、中国へスケッチ旅行に出かけている。

油彩も少なからず描いているのだが、やはり水彩画に比べると彼の好さが充分には出ていないように思われた。まあ、これは私の個人的な好みの問題であるのだが。

そして後半になって、いよいよ木版画の時代に入る。
もちろんこの時代の木版画は彫り師、刷り師との共同作業となるのだが、そのどれもが溜息ものであった。

生前のダイアナ妃が自室にかけていたという「光る海」も展示されていた。
有名な「瀬戸内海集 帆船」シリーズや「スフィンクス」シリーズ、「タジマハール」シリーズなどなど、感じられるその肌触りのようなものは画集で見るのとは大違いであった。

180点を鑑賞したが、気がつけばなんと3時間近くを費やしていた。

(余談)吉田博の次男は現代版画家の吉田穂高だが、穂高のシルクスクリーンも私は大好きである。


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by akirin2274 | 2017-07-27 20:18

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