今年はわれわれが大学に入学して50年目になるという。
ぜひ出てこい、との案内を受けて、大学を卒業して初めて同窓会に参加した。
会の前に、50年前に入学式がおこなわれた解剖講堂に集まるようにとのこと。
木造平屋のこの建物は、残存している医学部の建物では最も古いのだが、きれいに改修されて記念講堂医学部資料館になっていた。
そこの階段教室で現在の大学病院長が、医学部の現状について解説講演をしてくれた。
夕刻となり、会場である四条河原町の京料理店へ移動。
窓のすぐ外を鴨川が流れる座敷では、舞妓さん、芸妓さんが舞ってくれたり、酌をしたりしてくれた。
同期はたしか108人だったはずだが、今回の同窓会には50人が参加していた。
同じ科に進んだり、科は違っても同じ勤務先にいたことのある者を除くと、40年以上も会っていない奴ばかり。
かすかな面影が残っている顔もあるのだが、誰が誰やらさっぱり判らない。
お互いに名乗りあって、ああ、お前だったか。
話しはじめてみると、みな、結構昔のことを覚えている。ああ、そんなこともあったな。
驚いたことに、お前から詩集をもらったことがあったぞ、詩を書く奴が入学してくるんだと思って感心したことを覚えているぞ、という奴がいた。
うへえ、それは第一詩集「眠り足りない微笑」のことじゃないか。何も判らないままに思潮社から出したやつだ。そんなことを覚えていたのか。
まだ詩を書いているのか? ああ、去年出した詩集を送るよ。
京都の夜は悪酔いをしながら更けていった。