毎年2万部発行の会社の広報誌が今年もできあがった。
A4版、約60頁で全頁カラー印刷というきれいな冊子である。
この広報誌の表紙絵を創刊の時から頼まれていて、今回で8回目となる。
当初は自由に会社の建物の外観などを描いていたのだが、次第に広報部から注文も出るようになった。
で今年は、会社のシンボルとでも言うべき温室を描いて欲しい、ということだった。
1日3000人余りが訪れる会社なので、温室もいつも人でにぎわっている。
まさかそんな場所で実際にスケッチするわけにもいかないので、素早く何枚かの写真を撮ってきて、それを組み合わせて構図をとった。
実はうちの会社の理事長は、あの大原美術館でお馴染みの大原一族である。
会社が大正時代に建てられたときに、創始者の大原孫三郎の意をくんで、西洋風の噴水をそなえた温室のデザインを考えたのは児島虎次郎である(大原美術館の所蔵品を集めたのが彼である)。
現在の第1棟が新しく建てられたときにも、噴水などは移設されている。
3階まで吹き抜けの温室は、会社を訪れた人の憩いの場となっている。
手前の梁に取り付けられている照明は、以前の手術室で使われていたものを移設している。
透明な天井を通して差し込む光が病に苦しむ人々の気持ちを和らげてくれるようでもある。
とにもかくにも、こうして私の絵が全国の2万人の人の目に触れるのかと思うと嬉しい。
また来年もよろしくお願いします。
はい、喜んで。